STORY
lica
mollyは朝方、コートを浮浪者に剥ぎ取られた。
浮浪者の子どもはいともたやすく姿をくらました。
ただの物取りで、コートは少ないお金になっただけで街の蚤の市に並んだ。
mollyは、絵やら彫刻やら 物で溢れかえったjeanのいない家に帰って、自分の絵を全部飾ってみた。
それでいい気がした。
蚤の市では、目につくあのコートは値段を付けかえるほど注目を浴び、ファッションにうるさい者たちが競い合っていた。
その中でも、このコートならいくらでも出すと言った女性がコートを手に入れた。
女性の名前はlica。アメリカ人と日本人のハーフだった。
彼女にはこのコートがどこのブランドのもののvintageかわかっていた。
kikiというブランドである。
licaのアンテナは鋭かった。
彼女はファッションモデルの仕事をしていて、世界中を旅して 才能あるブランドは知らないものはなかった。
アクセサリーは、日本のブランド、planet opera theaterをlicaは愛し、そこのものしか身につけなかった。
彼女にとても似合っていた。
licaはkikiを着こなした。彼女はkikiのコートに取り憑かれた。
美しい彼女をコートはより引き立てた。
彼女は人気のあるモデルで 彼女自身もモデルの仕事が好きだったが、彼女はとても硬派だった。人に媚びを売ることをとても嫌った。
華やかな世界にいても、ちやほやされて浮かれたり、男遊びをする事を軽蔑していた。
それゆえ、孤独だった。
薬物、アルコールに頼り、よく掃き溜めのようなところに寝転がっていたり、家で何日も目が覚めなかったり、
喧嘩して暴れたり、そんな時もあのコートを着ている事が多かった。
彼女は強い女なはずだった。
ある夜、licaはビルの屋上から飛んだ。
薬物で錯乱していたからではない。自分は飛べるか試したのだ。
運がよく生きていた。
救急車が来た。沢山流血していたから看護師がハサミでコートを切ろうとした時、意識のない彼女が叫び暴れた。
「切るな!! 切るな!!」
看護師は コートが叫んでいるかと思ったらしい。
彼女は仮死状態だったのだから。
licaは、命は助かったものの もう歩けなかった。
もうモデルの仕事で格好よく歩くことも、
しなやかな身体のラインも彼女は失った。
怪我でlicaの身体は変形し、片側の腰はえぐれていた。足の感覚も失った。
ただ 天井の照明を見ている時間が長いこと続いた。
看護師が言った。医師が言うには その頑丈なコートがクッションの役割をしてあなたは助かったのだと。
「あのコートをあんなにボロボロにしてしまう着方をした私を支えたですって?
私にはkikiを着る資格なんてないわ」
licaは、今まで彼女にはただの物だったコートをベッドでコートの装飾を眺め、裏生地の優しい手触りを感じ、美しい刺繍に心が穏やかになっていった。そして、ハサミで切られてしまった腰紐を愛おしく縫っていたのだった。
彼女はkikiを最高の仕立て屋に直しに出した。
もちろん血痕も残らず綺麗にされた。
彼女はそのコートを着て、座ったままモデルの最後の仕事をした。ファッション雑誌の特集で、kikiの素晴らしさを語り コートはコレクターがこぞって欲しがった。
真冬 毎日のように、朝方licaは公園で車椅子から景色を見ていた。
ある日、licaは毎日会う 寒そうにそこに住んでいるらしい者に微笑みかけ コートをふわりとかけて
ファッションを全て捨て、人前から姿を消した。
けれど licaの歩いた残像は、いつまででも街を ステージを歩いている。
浮浪者の子どもはいともたやすく姿をくらました。
ただの物取りで、コートは少ないお金になっただけで街の蚤の市に並んだ。
mollyは、絵やら彫刻やら 物で溢れかえったjeanのいない家に帰って、自分の絵を全部飾ってみた。
それでいい気がした。
蚤の市では、目につくあのコートは値段を付けかえるほど注目を浴び、ファッションにうるさい者たちが競い合っていた。
その中でも、このコートならいくらでも出すと言った女性がコートを手に入れた。
女性の名前はlica。アメリカ人と日本人のハーフだった。
彼女にはこのコートがどこのブランドのもののvintageかわかっていた。
kikiというブランドである。
licaのアンテナは鋭かった。
彼女はファッションモデルの仕事をしていて、世界中を旅して 才能あるブランドは知らないものはなかった。
アクセサリーは、日本のブランド、planet opera theaterをlicaは愛し、そこのものしか身につけなかった。
彼女にとても似合っていた。
licaはkikiを着こなした。彼女はkikiのコートに取り憑かれた。
美しい彼女をコートはより引き立てた。
彼女は人気のあるモデルで 彼女自身もモデルの仕事が好きだったが、彼女はとても硬派だった。人に媚びを売ることをとても嫌った。
華やかな世界にいても、ちやほやされて浮かれたり、男遊びをする事を軽蔑していた。
それゆえ、孤独だった。
薬物、アルコールに頼り、よく掃き溜めのようなところに寝転がっていたり、家で何日も目が覚めなかったり、
喧嘩して暴れたり、そんな時もあのコートを着ている事が多かった。
彼女は強い女なはずだった。
ある夜、licaはビルの屋上から飛んだ。
薬物で錯乱していたからではない。自分は飛べるか試したのだ。
運がよく生きていた。
救急車が来た。沢山流血していたから看護師がハサミでコートを切ろうとした時、意識のない彼女が叫び暴れた。
「切るな!! 切るな!!」
看護師は コートが叫んでいるかと思ったらしい。
彼女は仮死状態だったのだから。
licaは、命は助かったものの もう歩けなかった。
もうモデルの仕事で格好よく歩くことも、
しなやかな身体のラインも彼女は失った。
怪我でlicaの身体は変形し、片側の腰はえぐれていた。足の感覚も失った。
ただ 天井の照明を見ている時間が長いこと続いた。
看護師が言った。医師が言うには その頑丈なコートがクッションの役割をしてあなたは助かったのだと。
「あのコートをあんなにボロボロにしてしまう着方をした私を支えたですって?
私にはkikiを着る資格なんてないわ」
licaは、今まで彼女にはただの物だったコートをベッドでコートの装飾を眺め、裏生地の優しい手触りを感じ、美しい刺繍に心が穏やかになっていった。そして、ハサミで切られてしまった腰紐を愛おしく縫っていたのだった。
彼女はkikiを最高の仕立て屋に直しに出した。
もちろん血痕も残らず綺麗にされた。
彼女はそのコートを着て、座ったままモデルの最後の仕事をした。ファッション雑誌の特集で、kikiの素晴らしさを語り コートはコレクターがこぞって欲しがった。
真冬 毎日のように、朝方licaは公園で車椅子から景色を見ていた。
ある日、licaは毎日会う 寒そうにそこに住んでいるらしい者に微笑みかけ コートをふわりとかけて
ファッションを全て捨て、人前から姿を消した。
けれど licaの歩いた残像は、いつまででも街を ステージを歩いている。
11/13
プロフィール/オトナコドモ舎 主宰

- クロカワミツヨ/黒川光世 映像作家・絵本作家
- 8mm Filmに限っては自家現像をしています。
経歴
代表作・「陽餌」16mm
・「紐理論」16mm、ビデオ
・「泡姫のおとしもの」8mm 調布映画祭入選作品
、その他。ミュージックビデオも手がける。
2011年 桜台poolにて、個展「MITSUYO OHYA MUSEUM」を開催。
2023年 出版社「オトナコドモ舎」を設立。
同年、絵本「ひとしずく」を11月に出版。
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