STORY
絵本「ボクはお口の中に猫を飼っている」
ボクの家には2匹の猫がいる。
でも、お母さんはボクが猫たちと遊ぶことを嫌がる。
ボクは生まれつき、気管支ぜんそくなんだって。
猫の毛は ボクの病気によくないってお医者さんは言うけど、
猫の方がボクより前からこの家にいるんだ、先輩なんだ。
からだに悪いと思いながらもこんなことしてしまう。(猫吸い)
咳が出る。いつものぜんそくの喉の音
「ゼイゼイ、ヒュー、ゼーゼー、ひゅーひゅー」
寝てる時、咳で目が覚めると 一緒に寝てるお母さんが悲しそうにボクを覗きこんでる。
夜中に発作で遠くの病院に行くときもあるよ。
ボクは3才になるけど、保育園にも行けないんだ。
いつ発作が起きるかわからないからなんだって。
お昼寝していた時だった。
隣で洗濯物をたたんでたお母さんが
「どこの猫かしら」という。
ボクも聞いた。自分の喉から。
「ゼーゼー、ひゅーひゅー」
じゃなく、
「ニャー、ニャー」
と。
ボクの届く鏡に行く。お口をいっぱいあーーーーーんした。
いた!
ボクの喉からチラッとこちらをみてる、小さな猫。
ボク「こんにちは」
猫「やあ、はじめましてこんにちは。私は猫ぜんそくの『ぜんそく猫』といいます。ゴホ。」
ボク「猫ぜんそく?ぜんそく猫?」
猫「猫にもぜんそくがあるんですよ。そして皆さん知りませんが、ぜんそくの方の喉にはぜんそく猫が住んでいます。ほら、私の喉にも。」
と猫は言って口を開けた。開いた口の中の猫も口を開けていた。その中の猫もその奥にも猫はいて、果てがなかった。
それからボクは、ぜんそく猫の観察を よくするようになった。
毛繕いするぜんそく猫。お腹を出して寝てるぜんそく猫。ボクの舌をフミフミするぜんそく猫。
ボクは聞いた。
「口の中から出てきてよ。お外へ出てきなよ。遊ぼう。」
ぜんそく猫は首を振り振り、
「せっかくですが、それはできません。私はここから出たら生きていかれないのです。ゴホゴホ。」
その晩ボクは夢をみた。喉のぜんそく猫と、その中の猫、またその中の猫たちと、うちに住んでいる先輩猫2匹とボクと皆んなで野原を駆け回る夢。
「ニャー!ニャー!」
ボクは喉の鳴き声で目が覚めた。手鏡で口を開けて、ぜんそく猫に話しかけた。
「おーい、ぜんそく猫。」見ると猫はぐったりとして、咳が止まらない様子だった。
「大丈夫⁈」
ボクは話しかけたけど、返事もできないようだ。
「お母さん!お母さん!」
ボクはお母さんのところへ行って、
「お母さん、ボク ぜんそくの発作が出た!病院へ連れていって!」
喉からは激しい「ニャー!ニャー!」という声。
ボクはお母さんに初めて嘘を吐いた。
ボクは車に乗って、救急病院の機械で煙を吸った。ぜんそく猫のためにいっしょうけんめいに吸った。
ぜんそく猫を鏡で見てみたら、ぐったりとして寝ていたところ手をあげて合図をしてくれた。
ボクは、助かってよかった、って 喉にいる命を守れて誇らしかった。
そんな日々を過ごして小学校に行き、ボクは中学生になった。
体調も小さな頃よりだいぶ丈夫になった。中学校での友達もできて、毎日楽しかった。
友達が、煙草を吸っていた。ボクも吸わないといけない状況だ。
映画で見て憧れていたし、ボクは吸ってみた。あまり美味しいとは思えないけど、クセになって一箱吸ってしまった。
「ニャー!!」
懐かしい声が喉から聞こえた。
「ボクまたぜんそくが悪いのかな…。」
「あっ!」
鏡に向かって口を開けた。
喉でぜんそく猫が大きく肥大して、瀕死の状態だった。
「おい、ぜんそく猫!死ぬな!
ボクが悪かった、もう煙草なんて吸わないよ。
約束するよ。だから死なないでくれよ!」
「約束ですよ。ニャーー…ニャーー…」
ボクは病院に向かって走った。
ボクの呼吸からニャーニャー音がする。
ぜんそく猫が生きている証だ。
ボクは彼にシルクハットをプレゼントした。
小さな小さなシルクハット。ボクが作った。
鏡でぜんそく猫に話しかけると、彼は
「やあ、どうもどうも」
と嬉しそうにシルクハットを持ち上げて挨拶する。
とても似合っている。
ボクらは共に生き続ける。
ボクは口の中に猫を飼っている。
でも、お母さんはボクが猫たちと遊ぶことを嫌がる。
ボクは生まれつき、気管支ぜんそくなんだって。
猫の毛は ボクの病気によくないってお医者さんは言うけど、
猫の方がボクより前からこの家にいるんだ、先輩なんだ。
からだに悪いと思いながらもこんなことしてしまう。(猫吸い)
咳が出る。いつものぜんそくの喉の音
「ゼイゼイ、ヒュー、ゼーゼー、ひゅーひゅー」
寝てる時、咳で目が覚めると 一緒に寝てるお母さんが悲しそうにボクを覗きこんでる。
夜中に発作で遠くの病院に行くときもあるよ。
ボクは3才になるけど、保育園にも行けないんだ。
いつ発作が起きるかわからないからなんだって。
お昼寝していた時だった。
隣で洗濯物をたたんでたお母さんが
「どこの猫かしら」という。
ボクも聞いた。自分の喉から。
「ゼーゼー、ひゅーひゅー」
じゃなく、
「ニャー、ニャー」
と。
ボクの届く鏡に行く。お口をいっぱいあーーーーーんした。
いた!
ボクの喉からチラッとこちらをみてる、小さな猫。
ボク「こんにちは」
猫「やあ、はじめましてこんにちは。私は猫ぜんそくの『ぜんそく猫』といいます。ゴホ。」
ボク「猫ぜんそく?ぜんそく猫?」
猫「猫にもぜんそくがあるんですよ。そして皆さん知りませんが、ぜんそくの方の喉にはぜんそく猫が住んでいます。ほら、私の喉にも。」
と猫は言って口を開けた。開いた口の中の猫も口を開けていた。その中の猫もその奥にも猫はいて、果てがなかった。
それからボクは、ぜんそく猫の観察を よくするようになった。
毛繕いするぜんそく猫。お腹を出して寝てるぜんそく猫。ボクの舌をフミフミするぜんそく猫。
ボクは聞いた。
「口の中から出てきてよ。お外へ出てきなよ。遊ぼう。」
ぜんそく猫は首を振り振り、
「せっかくですが、それはできません。私はここから出たら生きていかれないのです。ゴホゴホ。」
その晩ボクは夢をみた。喉のぜんそく猫と、その中の猫、またその中の猫たちと、うちに住んでいる先輩猫2匹とボクと皆んなで野原を駆け回る夢。
「ニャー!ニャー!」
ボクは喉の鳴き声で目が覚めた。手鏡で口を開けて、ぜんそく猫に話しかけた。
「おーい、ぜんそく猫。」見ると猫はぐったりとして、咳が止まらない様子だった。
「大丈夫⁈」
ボクは話しかけたけど、返事もできないようだ。
「お母さん!お母さん!」
ボクはお母さんのところへ行って、
「お母さん、ボク ぜんそくの発作が出た!病院へ連れていって!」
喉からは激しい「ニャー!ニャー!」という声。
ボクはお母さんに初めて嘘を吐いた。
ボクは車に乗って、救急病院の機械で煙を吸った。ぜんそく猫のためにいっしょうけんめいに吸った。
ぜんそく猫を鏡で見てみたら、ぐったりとして寝ていたところ手をあげて合図をしてくれた。
ボクは、助かってよかった、って 喉にいる命を守れて誇らしかった。
そんな日々を過ごして小学校に行き、ボクは中学生になった。
体調も小さな頃よりだいぶ丈夫になった。中学校での友達もできて、毎日楽しかった。
友達が、煙草を吸っていた。ボクも吸わないといけない状況だ。
映画で見て憧れていたし、ボクは吸ってみた。あまり美味しいとは思えないけど、クセになって一箱吸ってしまった。
「ニャー!!」
懐かしい声が喉から聞こえた。
「ボクまたぜんそくが悪いのかな…。」
「あっ!」
鏡に向かって口を開けた。
喉でぜんそく猫が大きく肥大して、瀕死の状態だった。
「おい、ぜんそく猫!死ぬな!
ボクが悪かった、もう煙草なんて吸わないよ。
約束するよ。だから死なないでくれよ!」
「約束ですよ。ニャーー…ニャーー…」
ボクは病院に向かって走った。
ボクの呼吸からニャーニャー音がする。
ぜんそく猫が生きている証だ。
ボクは彼にシルクハットをプレゼントした。
小さな小さなシルクハット。ボクが作った。
鏡でぜんそく猫に話しかけると、彼は
「やあ、どうもどうも」
と嬉しそうにシルクハットを持ち上げて挨拶する。
とても似合っている。
ボクらは共に生き続ける。
ボクは口の中に猫を飼っている。
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プロフィール/オトナコドモ舎 主宰

- クロカワミツヨ/黒川光世 映像作家・絵本作家
- 8mm Filmに限っては自家現像をしています。
経歴
代表作・「陽餌」16mm
・「紐理論」16mm、ビデオ
・「泡姫のおとしもの」8mm 調布映画祭入選作品
、その他。ミュージックビデオも手がける。
2011年 桜台poolにて、個展「MITSUYO OHYA MUSEUM」を開催。
2023年 出版社「オトナコドモ舎」を設立。
同年、絵本「ひとしずく」を11月に出版。
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