STORY

食用

「犬の話」

そこは中国の山。
「僕は野良犬。
今日もごはんを探しに人里へ降りる。
人間に見つかると、槍で突かれるくらいじゃすまないから。だって食料は人間たちのゴミだから。ゴミでさえ人間たちは許してくれない。
僕は生まれつき、嫌われものなんだ。
だって、人間に飼われている犬にあったよ。
紐に繋がれて、'人間が好きだ'って言っていた。僕は "へえ!人間が好きだなんて。彼等はきみに何をしてくれるの?"
飼い犬は '可愛がってくれる。'と言った。
僕は"可愛がってくれるって?ごはんをくれるってことかい?" 'ごはんもくれるし、愛してくれる。ぼくの飼い主たちは、僕を大好きなんだ。'
僕は信じやしなかった。人間が好きな犬がいるだなんて。
何が違う?
僕にはわからなかった。」
ある日、囲いの中に犬がたくさんいた。
山ほどのごはんが積んであった。何とかおこぼれにありつきたくて"野良犬"は侵入した。
囲いの中の犬に話しかけた。
「なぜ君たちは逃げないの?」
「美味しいごはんを食べられるのに逃げるわけないだろう。僕も前は野良犬だったけど、こんなにいいことないよ。
それに足に鎖がついていてね、逃げられるわけないよ、逃げる気もないけどね。」
"野良犬"は、この囲いの中の犬たちは可愛いがられているという犬とは別な気がした。
「同じ犬なのに、なぜ人間は区別するんだろう?
何が違うんだろう?」
"野良犬"は、囲いの中に通っては ごはんを頂戴していた。
ある夜、扉が開いて人間が犬たちを囲いからどこかへ連れて行く。"野良犬"も、一緒についていった。
たくさんの犬たちが一つの場所に集められた。
「人間は何をしようとしているのかな。」
"野良犬"はなんだかよくない気がして、その場所から逃げだした。あとから違う犬も逃げだそうとした時、下から大きな黒い網がたくさんの犬たちを包みあげ、丈夫そうな網は上でぎゅっと締まり吊り上げられた。
犬たちを一塊にしてしまったのだ。びっくりした犬たちの一斉の泣き声に耐えられず、"野良犬"はそこにいることはできなかった。
しかし、気になって引き返しものの陰から"野良犬"は見ていた。
人間たちが何人か来て話しているけれど、よからぬ事には違いないと思って野良犬は見ていた。
朝になり、人間たちが集まってくる。そこの場所の人間ではないらしい。近くの住民で賑やかになっていき、高く吊り上げられた網の下に大きな大きな釜がある。人間がその釜に、水を大量にせっせと入れている。水がたっぷり入った釜の下の薪に火は付けられた。水はぐつぐつといって沸騰しはじめ、湯気が上がった。犬たちは恐怖で泣き続ける。
野良犬には人間が言っている意味が分からなかったけれど、こう言っていた。
「ゆーりんさい」「ゆーりんさい」
たくさんの人間が何かを待ちかねていた時、網が鍋のなかに降りた。歓声が上がった。
野良犬は泣いた。一生けんめい泣いた。吠えた。「やめろ!」と。
釜の中で泣いてもがく犬たちは、成すすべもなく熱いお湯の中で苦しみ悶えた。
「誰がこんなことを考えた!人間は何でこんな事をするのか!人間は、こんな残酷なことに喜びを感じるのか!やめろ!」
野良犬の声はどこにも響かず、たくさんのもがく犬たちの叫びと人間の歓声にかき消された。
見ていた観客が声を上げた。「早く食べたい!」
「苦しみを与えた犬ほど美味しい肉になるんだそうだよ。」
「Yulinさい!」
「Yulinさい!」
「みんなで食べよう」
「神様に捧げましょう」
「香肉!!」


「犬編」

*この物語は、中国の玉林での祭りをモデルにしたもので、フィクションではありません。
2009年から中国の玉林で始まった「Yulin犬肉祭」は、実際にある「苦しみを与えたぶん肉が美味しくなる」という残酷なものです。数千匹の犬、猫が殴り殺されたり生きたまま鍋に入れられて殺され、食べる事を祭りとしています。祭りをやめさせるための署名運動が広がってきていますが、350万人の署名でやめさせる事ができるとは⁈誰が決めた⁇
祭り前に犬たちを救出してくれる団体ができましたが、全ての犬たちではなく2022年も廃止になってはいません。可哀想で見てはいられない、と目を背けてはいけない。そして中国は犬肉を販売し食べる事を禁止にする噂がありましたが、今でも「香肉」という隠語で犬肉をよび多くの飲食店のメニューに存在しています。酷いと許せないのは犬がかわいいからではありません。とても残酷で、食べる事に感謝の気持ちもないからです。
人間はおこがましい動物だと私は思います。
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プロフィール/オトナコドモ舎 主宰

プロフィール画像
クロカワミツヨ/黒川光世   映像作家・絵本作家
8mm Filmに限っては自家現像をしています。
経歴
代表作・「陽餌」16mm
・「紐理論」16mm、ビデオ
・「泡姫のおとしもの」8mm 調布映画祭入選作品 
、その他。ミュージックビデオも手がける。
2011年 桜台poolにて、個展「MITSUYO OHYA MUSEUM」を開催。
2023年 出版社「オトナコドモ舎」を設立。
 同年、絵本「ひとしずく」を11月に出版。

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