STORY
zowieとkiki
kikiは16歳の誕生日に、恋人のzowieにコートをもらった。
zowieは洋服のデザイナーを目指す若者で、kikiはサン・デグジュペリに憧れて パイロットになるのを夢みる女の子。zowieはそんなkikiのためにとても温かくてとびきりなコートをと、恋人になった時からずっと作っていた。女の子のくせにいつもボウズ頭なkikiの頭まで温かいような。
kikiは、人を透かしてみるような そんな目をしていた。
実際に、相手の事がわかりたくなくてもわかりすぎてしまい、人に冷めた感情も持っていた。悲しい運命だが、透けてみえるからkikiはzowieの事は心から好きだった。
zowieはふとした時に、kikiのその鋭く見透かす眼がゾクっとするほどきれいで
そして自分を恥じてしまう怖さも感じるのだが、zowieはkikiの眼の魅力に心底痺れていたのだ。
嬉しい時 悲しい時、kikiは歌を唄った。
その歌声は美しく、愉快で 何て歌だい?とzowieは聞く。
kikiは 今作ったの、と少し笑って答える。
zowieのそのコートを見たkikiは、目を見張り 長い時間手にとって眺め、コートを見ることもできないくらい目が涙で溢れた。
それは民藝の様に 沢山の模様が木綿に糸で彩り縫われ、貝殻や小さな鏡、ビーズ、前ボタンに胡桃を手作業で織りなされていた。見ているだけで楽しい沢山の絵画のパッチワークのようなもので、kikiの足首くらいまである丈だった。
裏生地には、毛糸が小さく輪になったものが無数に、何重にも施されていて、襟にはカラフルな刺繍の生地が被さった大きなボタンで留められた、毛糸とボアの飛行士の帽子が付いていてフードのように被ることができた。腰には刺繍された紐、前面は太い紐になっていて、紐を絡めるようなベルトになっていて 紐の両先にはビーズで拵えた花が揺れている。アクセサリーを全くつけないKikiに、zowieがイメージして作った花をビーズと珊瑚とニットで織り込んであった。
動物の好きなkikiのために毛や皮は使われていなかった。
どこをとっても、愛の結晶のような素晴らしいコートだった。
大きな愛と、とてつもないほどの手間隙かけて作られたもの。
そうしてこの物語の主人公のコートは作られた。
kikiは、恋人のプレゼントにとても喜んだ。嬉しくて 大切にしようと心から思って、zowieの顔じゅうにキスをした。あなたはすごいデザイナーよ、って。
本当にそのコートは とてもとても温かくて、程よい重さだった。
kikiは冬 そのコートを毎日着て出かけ、zowieと歩くのが大好きだった。
ある晩も二人で川沿いを歩いていた。
寒い冬に、一人の少女が暗い川の中にいるのをみつけ、二人は只事ではない雰囲気を感じとり 近づいた。
zowieは川へ入り少女を岸辺に抱いてきた。彼女は寒さでとてもとても震えていた。
訳もありそうだから 通りすがりの自分にこの子にしてあげられる事はないか考え、kikiは自分の着ていたコートで少女を包んだ。
「とても温かいから。着て、おうちに帰りなね。じゃあまた。」
それだけ言って、zowieに行こう、とkikiは言った。
kikiは何も言わなかったけど、kikiのしたことが彼女にとってあのコートが特別じゃないからなんてことはzowieは思わなかった。何を着ていたって、kikiは彼女にかけてあげていたろう。二人は黙って歩いた。
zowieの首からするりとマフラーをすり抜き、kikiは笑って逃げた。zowieはkikiをつかまえて首元に巻いてあげた。そんな子だから、zowieは大好きでしょうがないのだ。もっといいものをまた作ってあげればいいか、と思うだけで また二人は手を繋いで冬の道を歩いていった。
kikiは、声を寒い空気に掻き消されながらめちゃくちゃな歌を歌った。zowieはそれが心地よかった。
zowieは洋服のデザイナーを目指す若者で、kikiはサン・デグジュペリに憧れて パイロットになるのを夢みる女の子。zowieはそんなkikiのためにとても温かくてとびきりなコートをと、恋人になった時からずっと作っていた。女の子のくせにいつもボウズ頭なkikiの頭まで温かいような。
kikiは、人を透かしてみるような そんな目をしていた。
実際に、相手の事がわかりたくなくてもわかりすぎてしまい、人に冷めた感情も持っていた。悲しい運命だが、透けてみえるからkikiはzowieの事は心から好きだった。
zowieはふとした時に、kikiのその鋭く見透かす眼がゾクっとするほどきれいで
そして自分を恥じてしまう怖さも感じるのだが、zowieはkikiの眼の魅力に心底痺れていたのだ。
嬉しい時 悲しい時、kikiは歌を唄った。
その歌声は美しく、愉快で 何て歌だい?とzowieは聞く。
kikiは 今作ったの、と少し笑って答える。
zowieのそのコートを見たkikiは、目を見張り 長い時間手にとって眺め、コートを見ることもできないくらい目が涙で溢れた。
それは民藝の様に 沢山の模様が木綿に糸で彩り縫われ、貝殻や小さな鏡、ビーズ、前ボタンに胡桃を手作業で織りなされていた。見ているだけで楽しい沢山の絵画のパッチワークのようなもので、kikiの足首くらいまである丈だった。
裏生地には、毛糸が小さく輪になったものが無数に、何重にも施されていて、襟にはカラフルな刺繍の生地が被さった大きなボタンで留められた、毛糸とボアの飛行士の帽子が付いていてフードのように被ることができた。腰には刺繍された紐、前面は太い紐になっていて、紐を絡めるようなベルトになっていて 紐の両先にはビーズで拵えた花が揺れている。アクセサリーを全くつけないKikiに、zowieがイメージして作った花をビーズと珊瑚とニットで織り込んであった。
動物の好きなkikiのために毛や皮は使われていなかった。
どこをとっても、愛の結晶のような素晴らしいコートだった。
大きな愛と、とてつもないほどの手間隙かけて作られたもの。
そうしてこの物語の主人公のコートは作られた。
kikiは、恋人のプレゼントにとても喜んだ。嬉しくて 大切にしようと心から思って、zowieの顔じゅうにキスをした。あなたはすごいデザイナーよ、って。
本当にそのコートは とてもとても温かくて、程よい重さだった。
kikiは冬 そのコートを毎日着て出かけ、zowieと歩くのが大好きだった。
ある晩も二人で川沿いを歩いていた。
寒い冬に、一人の少女が暗い川の中にいるのをみつけ、二人は只事ではない雰囲気を感じとり 近づいた。
zowieは川へ入り少女を岸辺に抱いてきた。彼女は寒さでとてもとても震えていた。
訳もありそうだから 通りすがりの自分にこの子にしてあげられる事はないか考え、kikiは自分の着ていたコートで少女を包んだ。
「とても温かいから。着て、おうちに帰りなね。じゃあまた。」
それだけ言って、zowieに行こう、とkikiは言った。
kikiは何も言わなかったけど、kikiのしたことが彼女にとってあのコートが特別じゃないからなんてことはzowieは思わなかった。何を着ていたって、kikiは彼女にかけてあげていたろう。二人は黙って歩いた。
zowieの首からするりとマフラーをすり抜き、kikiは笑って逃げた。zowieはkikiをつかまえて首元に巻いてあげた。そんな子だから、zowieは大好きでしょうがないのだ。もっといいものをまた作ってあげればいいか、と思うだけで また二人は手を繋いで冬の道を歩いていった。
kikiは、声を寒い空気に掻き消されながらめちゃくちゃな歌を歌った。zowieはそれが心地よかった。
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プロフィール/オトナコドモ舎 主宰

- クロカワミツヨ/黒川光世 映像作家・絵本作家
- 8mm Filmに限っては自家現像をしています。
経歴
代表作・「陽餌」16mm
・「紐理論」16mm、ビデオ
・「泡姫のおとしもの」8mm 調布映画祭入選作品
、その他。ミュージックビデオも手がける。
2011年 桜台poolにて、個展「MITSUYO OHYA MUSEUM」を開催。
2023年 出版社「オトナコドモ舎」を設立。
同年、絵本「ひとしずく」を11月に出版。
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